【うさぎ絵日記】 哀しき10月のラブソング
今日は2代目さくらの時の お話です
2代目は小さな身体にマフが3段もある
女子力高めの美人な子でした
初代も2代目もトイレが完璧だったので
部屋で放し飼いの生活でした
どういう訳か 2匹とも私の枕もとで寝るように
なっていました
温暖な県にあったのに 祖父母の家は山勝ちで
冬の訪れは早かったです
また 山の木々は植林のせいで 錦に彩られることなく
冬に移り変わるので 少し寂しい感じがしました
ここは10月となれば
もう晩秋の装いとなります
その日は10月半ばの頃だったでしょうか
すでに肌寒く 朝は布団から出られず
さくらに くっついていました
しばらく経って
私は布団から上半身を起こし
耳をそばだてました
車の音
鳥の鳴き声に混って
ツクツクボウシの声が聞こえたのです
田舎で育ったからか、ツクツクボウシは
晩夏になって、慌てて鳴き始める
イメージがありました
でも もう気温もぐっと下がり
冬の気配が満ちています
家のすぐ裏には 山々が連なっており
そこで たった一匹が鳴いているのです
「ツクツクボーシ ツクツクボーシ ツクツク・・・」
大きな大きな声で恋の歌を歌っています
だけど それに応える声はありません
競う仲間さえ もういません
彼は 声の限りを尽くして歌っているのです
「ツクツクボーシ ツクツクボーシ ツクツク・・・」
次の日も 彼は一匹で歌い続けています
でも 3日目には 声が途絶えました
私が 今までで聴いた
一番切ないラブソングでした
その身体を土に還して また生まれておいで
今度は仲間と一緒に
恋しいあの子に向けて
高らかと歌えるように
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